私、ゆういちは30代後半にある訪問看護ステーションに転職し、訪問リハビリに従事しました。
しかし雷が原因で5ヶ月で仕事に行き詰まりました。
そして四十路前のおっさんは久しぶりに人前で本気で泣きました。
あまりこんなマヌケな理学療法士はいないと思うんですけど、私は本当に雷が怖くて・・・。
ちか
- 雷が世界で一番怖い理学療法士、もしくはそれに準ずる人。
- 将来的に訪問リハビリで働きたいと考えている雷嫌いの理学療法士。
- 「雷でなんで仕事が行き詰まって泣くの?どうせガセやろ」とちょっと冷めた目で読んでいる人
雷が全然平気な人や、訪問リハビリで働く気がない人には全く理解できない話です。
でも私にとっては森・加計問題よりも重要な問題。
私と同じ雷嫌いの理学療法士に贈る、私にとっては涙の、みなさんにとってはしょうもない物語です。
ぜひ聞いてください。
この記事で伝えること
雷を怖くなったのはある出来事がきっかけだった

みなさんは雷が好きですか?
私は大・大・大嫌いです(笑)
気象学についてはよくわかりませんが、なぜ雷みたいな怖いものがこの世に存在しないとダメなのでしょうか。
だって雨は一切降らなかったら農家が困りますが、雷がなくなっても99%以上の人は困らないはずです。
雷が怖くなったのにはちゃんと理由があります。
高校生のときに起こった2つの出来事がきっかけでした。
ひとつは、中学の同級生がサーフィンにいって、海に入っているときに落雷があり亡くなったこと。
お葬式で周りからそのときの悲惨な状況を聞き、「雷は怖い」と私の心に深く刻み込まれたこと。
もうひとつは、高校生のときにプロ野球の観戦にある地方球場に行ったときのこと。
その試合は大雨と激しい落雷で途中で中止になりました。
雨も雷も止まないのでスタンドの下で雨宿りしていた私たちの近くに、バンバン雷が落ちてきました。しかも落雷は近づいてきたのです。
現在プロ野球の試合が行われる野球場には避雷針が設置されていますが、昔の地方球場にはそんなものはありません。
同級生が亡くなった事件の後だったので、それそれは生きた心地がしませんでした。
この2つの出来事をきっかけに、雷にビビりまくる私が形成されていきました。
キャリア形成のために訪問リハビリへ転職
時は流れて理学療法士になり、総合病院やクリニックで勤務した後、ある民間病院に転職することになりました。
求人をしていたのは病院なのですが、勤務先は併設の訪問看護ステーションでの訪問リハビリ業務でした。
訪問リハビリにはそれまでじっくりと携わったことがなかったので、その求人に募集しました。
その後就職の内定をもらい、訪問リハビリの理学療法士としてある年の4月から働き始めることになりました。
そこの訪問看護ステーションでは訪問の移動手段が原付きです。
これが後に私の運命を左右するとは、働き始めたときには思いもしませんでした。
訪問リハビリと雷と私
雷嫌いが訪問リハビリに従事する理学療法士に与えた影響
働き始めて順調に仕事をこなしていたのですが、事件は5ヶ月後の8月に起こりました。
その日の15時半くらい。
訪問先の患者さんの家でリハビリをしていたのですが、途中から打ち付けるような激しい雨の音が聞こえてきました。この時期特有の夕立ですね。
「雨がめちゃ降ってますねぇ」なんて患者さんと悠長に話していたら、途中からゴロゴロと嫌な音がしてきました。
そのうちピカっと稲光を伴った落雷も発生。
リハビリをしながらバクバクと鼓動が早くなる私。
その患者さんのリハビリを終え玄関に向かうと、想定してたよりひどい雷雨でした。
「あかん、無理」
4月に訪問リハビリを始めてから雨の日はもちろんありましたが、雷の日はなかったので、訪問リハビリで雷に遭うことを想定していませんでした。
雷が嫌いじゃなかったら「えらい雷鳴ってるなぁ」くらいで、かっぱを着て次の家に向かうのでしょうが、雷が超嫌いな私は外に出ることもできません。
「どうしよ・・・。次の人が待ってる」
焦る私。
いまみたいにスマホで雨雲レーダーが見られる時代なら、「何分後には雨が止むから動けそう」とわかるのでしょうが、当時はそんな便利なものはありません。
私は人を待たせるのがとにかく嫌い。
さらに次の訪問先である○○さんは気難しい性格で、最近ようやくラポートが築けてきたところで、ここで失点するのは避けたいところ。
「次の○○さんが待ってるよなぁ。でもこんな雨と雷じゃ絶対出られへんし・・・」
さらに焦っていく私。
いまリハビリが終わった患者さんは「少し雨宿りしていったら?」と優しい言葉をかけてくれています。
普通に考えたらそうすればいいのでしょうが、すごく焦っている私は冷静に判断できません。
10分ほどしてようやく正気に戻ってきて、まずは事務所に電話で状況を伝えました。
事務所のスタッフは「そんなんしゃあないやん。私から○○さんには連絡しとくから、雷が鳴り止んでから行ったら」と笑いながら電話口で話してくれました。
結局大嫌いな雷は40分以上止むことなく、次の家には1時間近く遅れて到着しました。
○○さんは「自然には勝たれへんわ」といってくれましたが、雷が嫌いで患者さんに迷惑をかけたことに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
さらに雷の悲劇は繰り返される
この事件があってから、夕方になるとすごく憂鬱でした。「もしかしたら今日も雷がなるんじゃないか」と。
数日は大丈夫だったのですが、再び夕方に雷に遭ってしまいました。
しかも同じ曜日に。そう、またも○○さんに迷惑をかけてしまったのです。
このときも○○さんは怒りはしませんでしたが、遅刻を繰り返したことに何度も謝りました。
事務所に戻ってから上司にその日のことを報告しました。
いきなり核心を突かれてびっくりしました。雷事件が2回続いたので、私の状況を上司も気にかけていたようです。
上司っていうても歳下なんですよねぇ。
不甲斐なさと、気を使ってくれる上司の優しさ、迷惑をかけた利用者さんに申し訳ない気持ち・・・。
あとなんでこんなに雷が怖いんだという自分への怒りなどなど、いろんな感情が一気に吹き出して、その場で泣いてしまいました。
しかもけっこうな号泣。
40歳近いおっさんになって、お葬式以外で人前で泣いたのは自分たちの結婚式以来。
そんな恥ずかしさも忘れるくらい泣きました。
雷嫌いの理学療法士の訪問リハビリのその後
訪問リハビリに転職してまだ5ヶ月だったので、まだ辞めるわけにはいきません。
なんとか続けるように上司と話し合って以下のような対策を立てました。
- 雷は自然のものだから発生したら仕方ないと諦める。(考えすぎないようにする)
- 患者さんにも「自分は雷が苦手なこと」をお伝えして、雷が発生したら動けないので遅くなことを了承していただく。
- 事務所も協力して、遅れるときの患者さんへの電話連絡を請け負う。
幸いその年の夏に再び雷に遭うことはなく、なんとか夕立の季節を脱することができました。
雷が怖かったら訪問リハビリに就職したらダメなのか?
「雷が超嫌い!」というセラピスト(理学療法士や作業療法士、言語聴覚士)は私だけではないと思います。
では雷嫌いのセラピストは、訪問リハビリに転職したら私のように痛い目を見るのでしょうか?
その答えは30%はYESで、70%はNOです。
雷の年間日数は思ったほど多くない
まず30%のYESの部分です。
私のように雷が超苦手な人は、訪問リハビリで移動手段が原付きや自転車なら、いつかは雷問題に直面します。
ですが、気象庁の雷の観測と統計によると、年間の雷日数は札幌で8.8日、東京で12.9日、名古屋で8.8日、大阪で16.2日となっています。
たとえば東京で訪問リハビリに従事したとして、雷に遭う可能性は単純に12で割ると月に約1回。
その日に必ず仕事をしているわけではないでしょうし、仕事がある日でも雷の時間にリハビリをしている(=屋内にいる)かもしれません。
何がいいたいかというと、たまたま私はひと夏に2回も雷に運悪く遭遇しましたが、普通はそんな簡単に遭うものではありません。
だからそこまで雷を意識する必要がないのです。
私のように患者さんのご理解、スタッフの協力があれば絶対乗り切れます。
移動手段が車なら雷は気にする必要はなし
ここまで話しているのは、あくまで移動手段が原付きや自転車だった場合です。
もし転職した先の訪問リハビリの移動手段が、車だったら安全なので雷なんて全く気にする必要はありません。
落雷の車の中の安全性について、JAF(日本自動車連盟)のホームページには次のように書かれています。
車に落ちた雷はボディなどの金属部を通り、タイヤを伝い地面に流れます。車のような金属の枠の中には電気は入り込まないので、電子機器や人に対しても、車内では落雷の影響はないようです。
まとめ
雷嫌いの理学療法士が訪問リハビリ時に経験した被害(?)についてお伝えしてきました。
最後にまとめます
- 雷嫌いの理学療法士は夏の訪問リハビリでは遭遇する可能性があるので要注意。
- 年間の雷日数はそれほど多くないので、必要以上にビビる必要はない。
- 訪問リハビリを車でまわるなら全く問題なし!
もし雷が嫌いだけど、どうしても訪問リハビリに転職したいのであれば、移動手段が車の事業所を選べば問題ありませんよ。
私のように雷が嫌いでも、訪問リハビリに貢献したい気持ちがあればなんとかなりますよ。