理学療法士の副業の法律について、こんなに調べたPTはいないと自負するゆういちです。
今回の記事では理学療法士の副業に関する法律をピックアップする。
最初に結論をいっておくと、理学療法士の副業は法律上問題ない。
でもひとつだけ注意しなくてはならない。
理学療法士であるあなたが副業をする場合、法律や就業規則に違反してはいけない。
考えれば当たり前のことだけど、医療従事者は法律や規則にうとい。
バリバリ副業をしている理学療法士も作業療法士も言語聴覚士も、副業に関する法律を理解している人は皆無。
ではなぜ副業に関する法律を知っておかないといけないのか?
それは法律に違反すると、理学療法士免許を取り消しされる可能性があるから。
副業をして、理学療法士免許を剥奪され、本業である理学療法士を続けられなくなったら本末転倒だよね。
今回の話を読めば、理学療法士の副業がなぜ法律上問題ないのか。そして、どんな法律を守らないといけないのかがしっかりわかる。
ぜひ最後まで読んでね。
憲法で職業選択の自由は保障されているから理学療法士の副業はOK
理学療法士の副業については、本当なら誰にも邪魔されるものではない。
それは憲法で保障されているから。
はい、ここからは少しだけ中学校の社会の復習です。
日本国憲法第22条を覚えてる?第1項に次のように書かれてる。
第22条何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
公共の福祉に反しない限りという条件で、職業選択の自由を保障してる。
誰かに迷惑かけないようなことやったらええんやね?
そうそう。
さらに労働に関する法令(労働基準法など)にも、「副業をしてはいけない!」と明確に禁止している文言はない。
ただし公務員は除外ね。
公務員は国家公務員法第103条第1項で私企業からの隔離が定められている。
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
引用)e-Gov 国家公務員法
同じように県庁や市役所の職員、教員などの地方公務員も、地方公務員法38条によって副業が禁止されいる。
信用や秘密保持の問題もあるし、ちゃんと職務専念しいやっていう理由。
それやったら公務員以外は好きに副業やってもOKやね。
でも就業規則で禁止されてる場合があるのよ。
理学療法士の副業は就業規則で決められている
理学療法士の副業に関しては、法人や病院、事業所の就業規則で禁止されていることがある。
さっきの公務員と同じ理由で、業務の秘密を漏らされたり、働きすぎて健康を概して本業に支障をきたすとあかんから。
就業規則に「従業員は法人の許可なく他の業に従事してはならない」なんて書かれてたらアウトね。
でも法律のルールでいうと、これには拘束力はないとの見方が多いねん。
どういうこと?
日本において一番重きを置かれてるのは憲法。これはなんとなくわかるでしょ?
その次が法令(労働基準法など)で、その下に就業規則や雇用契約書がある。
イメージとしてこんな感じ。
この図のように、基本的には憲法で保障されているものが優先される。
だから就業規則で副業禁止と書かれてても「いやいや、憲法で職業選択の自由は保障されてるし」って、勤務先に主張すればいい。
職務は全うして職場の信用を落とさなければOK。
いくら憲法で保障されていても、あくまで職場の信用を落とさなかったり、職務に影響しなかったらという条件つきってこと。
なんかややこしいって思った?じゃあこうしよう。就業規則で副業禁止されてても、給料が安いし、将来のことを考えると副業がしたい人もいるよね。
でもできれば職場ともめるのも避けたい。
そんなあなたに読んで欲しい「理学療法士ができるバレない副業方法」については、別記事で詳しく書いてるから知りたければ読んでみてね。
よく聞く住民税でバレるって話も詳しく書いてるよ。
理学療法士の副業では宣伝の表記には注意が必要
法律の話はわかりにくいので、ここで一旦おさらいをしておく。
- 憲法で職場選択の自由は保障されている。
- 理学療法士の副業は就業規則で禁止されている場合がある。
- 就業規則で副業が禁止されていても、公的秩序を乱さなかったり、職場の信用を落とさなければ副業は法律的には問題なし。
理学療法士の副業として、カフェやラーメン屋を就業後や休日にすることには問題ないと思う。
もちろん健康面に気をつければの話。副業に精を出して、本業がおろそかになるのはNGね。
問題は整体業やリラクセーションサロン(マッサージ屋)などを営む場合。
たまにいてるよね。週末だけ整体院を開く理学療法士が。これには他の法律が絡んでくる。
どんな法律?
理学療法士及び作業療法士法やね。
ここで理学療法士及び作業療法士法のおさらい。
第二条3項にこんな文章がある。
この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行うことを業とする者をいう
理学療法士は、医師の指示の下に理学療法を行うことが業務ってこと。
つまり医師の指示の下から離れたものは理学療法じゃないし、それをやってるときは理学療法士と名乗るのはダメ。
よく問題になってるのは、「理学療法士が開業しました」って大きく書いてる広告。
あたかも理学療法士に開業権があって、病院でやってる理学療法を整体院やサロンで提供していると思わせるやつ。
理学療法士の保険適用外の活動については、日本理学療法士協会の会長が平成27年に急告として声明を出してる。
理学療法士が医師の指示を得ずに障害のある者に対し、理学療法を提供し、業とすることは違反行為となります。
本会としましては、理学療法士の「開業権」及び「開業」については、現行法上、全く認められるものではないとの見解に立っています。
要約すると、
- 医師の指示がないのにやってることを、勝手に理学療法っていうな。
- 理学療法士には開業権はない。
- だから理学療法士を名乗って開業もどきするな!
ということ。
協会は開業っぽく営業するのはダメっていう立場なんやね。
開業権がないからね。宣伝の仕方を工夫するしかない。
どうしてもあなたが週末起業、もしくはセミフリーのような形で整体業を営みたいなら、宣伝の方法には注意しよう。
整体院、整体サロン、リラクセーションサロン(理学療法士、理学療法という単語は一切使わない)
どうしても使いたければ、プロフィールに「保持資格」として理学療法士と書く程度にする。
理学療法士が営む整体院、自費の理学療法
整体院を起業するときには、理学療法士としての実績をアピールしたいところ。
でもそこを少し我慢して、控えめに書いた方いい。
あまりにひどいと厚生局から指導が入ったり、最悪の場合は理学療法士免許を取り消しされる可能性もあるので要注意。
まとめ
理学療法士に副業に関する法律について書いてきた。
副業をすること自体は、最近大手企業でも認められるようになってきたし、元々医療業界は副業に寛容だったので、大きな問題ではないと思う。
ただやり方には細心の注意を払おう。
いくら憲法が保障していても、副業で勤務先に迷惑をかけるようなことがあれば、裁判で負けている事例もある。
勤務先の信用を傷つけず、自分にもプラスになるような副業の方法を見つけて欲しい。