たまに整体の副業もしていたゆういちです。
今回は理学療法士が副業で整体師として働く方法を紹介する。
もちろん法に触れることはしない。あくまで合法的にやるやり方。
理学療法士や作業療法士で、休日や就業後に自分で何か副業ができないか考える人は多い。
いろいろ副業を考える中で、よく話題にでるのが整体。
理学療法士として磨いた知識や技術を、自費の治療として患者さんに提供できないかって考える。
でも理学療法士や作業療法士が整体をやろうとすると、いろいろややこしい問題が生じてくる。
これをクリアしないと、勤務先を解雇される可能性もあるし、最悪理学療法士や作業療法士免許を取り消しされる可能性もあるので注意しないといけない。
だからしっかり考えて欲しいし、考えるのが面倒な人のためにこの記事を書いた。
- 理学療法士は副業を法律で禁止されていない。
- 理学療法士が副業をするなら就業規則は守る必要がある。
- 理学療法士に開業権はないから注意する。
この記事を読めば、整体の副業に関してやるべきことが見えてくる。
逆にこの記事で書かれている内容を知らずに、副業で整体をするのはかなり危険。
副業で整体をしようと思っている理学療法士や作業療法士はぜひ読んでみて。
今回の記事では、理学療法士が整体師を名乗って業を営むことの是非は問題にしていません。
私は、理学療法士が副業で整体をすることをおすすめするわけではありませんし、反対する立場でもありません。
あくまで法律上、理学療法士が副業で整体をするならって話を書いただけです。
その点をご理解した人だけ読みすすめてくださいね。
理学療法士の副業自体を禁止する法律はない
まず最初にこれだけははっきりさせておこう。
理学療法士の副業を禁止する法律はない。
なぜなら職業の選択の自由は、憲法第22条で保障されているから。
ただし、公的な秩序を見出したり、勤務先に迷惑をかけたりするなら話は別。
そんな副業は勤務先に認められないでしょ。
そのあたりは『PTの副業は法律では問題ないけど注意点もある』で詳しく書いているので、法律のことを知りたいなら後で読んでみて。
理学療法士は医師の指示なしに理学療法を提供できない
あなたも知ってるように、理学療法は医師の指示の下に行うもの。
だから、もし医療保険や介護保険から離れたところで、あなたが対象者に施す施術は、理学療法っぽいけど理学療法じゃない。
なんかややこしいな。
でもこれをきっちりしとかないと、法律に違反するからね。
これは日本理学療法士協会が、協会としての見解を以前出してる。
身分法上は、「理学療法士とは、厚労大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下、理学療法を行うことを業とする者をいう。」となっています。
したがって、理学療法士が医師の指示を得ずに障害のある者に対し理学療法を提供し、業とすることは違反行為となります。
医師の指示なしに理学療法を提供する仕事は違反だってこと。
あなたが副業で整体業を営むとしても、あなたがする施術(←治療という表現も使えない)は理学療法ではない。
あなたの施術にどれだけ理学療法の知識が生かされていようが、あなたが理学療法士として実績があろうが、医師の指示がないものを理学療法と呼んだらダメ。
予防分野に関しては、少し変わりつつあるけど、いわゆる治療に関してはきっちり線引しよう。
理学療法士が副業で整体業を営むことを協会はよく思っていない
もうひとつ覚えておいて欲しいことがある。
それは日本理学療法士協会は、理学療法士が整体師として開業して、整体業を営むことを心よく思ってない。
理学療法士による開業もどきの動きが強まってしまいました。
(中略)
当然主体者(医師)の存在無しには理学療法士は存在しないのです。
医療従事者としての理学療法士の地位を守るなら仕方ないか。
でも理学療法士や理学療法から離れれば法律的には問題ない。
どういうこと?
理学療法士は開業できないけど、個人事業主として開業するのは勝手やからね。
理学療法士は開業できないが個人事業主としては開業できる
現在の日本の法律では理学療法士は開業できません。
でも理学療法士のあなたが、個人事業主として開業することはできる。
うん、ややこしいね。
じゃあちょっとだけ個人事業主についての勉強をしよう。
まず事業者とは、国税庁のホームページに次のように書かれてる。
「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいい、「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。
(中略)
個人事業者の場合、例えば、小売業や卸売業をしている人をはじめ、賃貸業や取引の仲介、運送、請負、加工、修繕、清掃、クリーニング、理容や美容といった業を営んでいる人はすべて事業者になります。さらに、医師、弁護士、公認会計士、税理士などの人も事業者になります。
個人事業主に当てはまるものとしては、個人経営の
- カフェ
- クリーニング屋
- 美容院
- ラーメン屋
- 居酒屋
- 酒屋
なんかがそう。
これと同じように、個人事業主になって整体師として整体業を営むのは法律的に全く問題ない。
整体業と似たものなら、リラクセーションサロン(マッサージ)、コンディショニングスタジオを営むのも一緒ね。
整体には国家資格はないから、自分で整体師と名乗ればあなたも今日から整体師になれる。
これは整体業を本業とするか、副業とするかは関係ない。
あくまで整体業を事業としてやるかどうかって話ね。
あんたも個人事業主やんね?
そうやで。俺も整体業として届け出してる。
図にするとこんな感じ。
あくまで理学療法士として開業するんじゃなくて、個人事業主として整体業を営む者として開業する。
その代わり理学療法・理学療法士など、医療行為を連想させる文言は、ホームページにもチラシにも、あと施術中にも絶対使わない。
個人として整体院を営むことがなぜ問題ないのかというと、協会がどう考えているかは関係なく、日本には昔から整体師という職業があったから。
整体にエビデンスがあるとかないとか、そんなことはいまは置いておく。
整体を仕事にして生活している人がいるし、これを禁止する法律はない。
もちろん、診断や治療などの表現を使って医師法に違反するとダメだけど、問題ない表現で商売するのを止める権利は誰にもない。
なんとなくわかってきたわ。
表現に気をつければ問題ないってこと。
理学療法士が副業で整体業を営むときの3つのポイント
最後に理学療法士が副業で整体業を営むときのポイントを書いておく。
- 法律を守る
- 勤務先には絶対迷惑をかけない
- 副業はバレる可能性が高い
なんとなく想像できるものもあるけど、詳しく解説するね。
理学療法士や理学療法という文言を使用しない
理学療法士が、理学療法から離れて整体院を開業するとき、一番問題になるのがこれ。
理学療法士や理学療法、治療などの表現を使わないようにする。
このチラシを見て。
これ、問題だらけだけどわかる?
開業は個人事業主としては問題ないが、理学療法士が開業していると想起させる表現を使っているのでアウト。
理学療法士・理学療法という言葉がダメだよね。
あと治療も医師の指示を得ずにする行為には使えない。
理学療法は医師の指示の下に使われる言葉なのでアウト。
診療も一般的には医師の行為を指すものだからダメ。
勤務先や理学療法士の信用を失墜させる行為はしない
いくら理学療法士の副業が憲法で保障されてても、勤務先に迷惑をかけたらあかん。
たとえば「絶対よくする」と自分の整体院を宣伝したとする。
施術を受けた人がよくなるどころか、症状がひどくなったらどうだろうか。
「あそこの病院に勤めてる理学療法士が、うさん臭いことやって金儲けしてる」と評判が立てば勤務先に必ず迷惑がかかる。
これだと勤務先は整体の副業を許可できないよね。
もっというなら、理学療法士の信用にも関わる問題だから変な施術はしないでね。
副業は職場にバレるのでそのつもりでやる
さっき上で「協会は整体業を営むことをよく思ってない」と書いたけど、職場も理学療法士が理学療法もどきの整体院を営むことはよく思わない。
だって、何かあったら勤務先の病院や介護事業所の信用問題に発展するでしょ?
だからこっそり整体院を開業して、勤務先にはバレないようにやろうとする人がいる。
でもちょっと待って!
副業でも勤務先にバレずに整体院をするのは無理。
『PTの副業禁止なんて怖くない!バレない副業方法と税金の悩み』で書いたけど、税金でバレないようにはできる。
でも人の噂は広がるものだし、集客でホームページやSNSを使うなら顔と名前は必ず出さなといけなくなる。
そうなると職員に見られる可能性は否定できない。
可能なら職場には事前に副業の許可を取ろう。
ただし副業で整体をするといって、許可を出してくれる職場は少ないと思う。(特に大きな病院)
なので、バレずにやるなら知り合いくらいに限定するか、バレてもいいと腹をくくるか、そのどちらね。
まとめ
理学療法士の整体の副業について書いてきた。
理学療法士ができる副業にはいろいろあるけど、おそらく整体が一番ややこしい。
それは法律的にクリアできても、理学療法士という国家資格保持者として、やれること・やっていいことの壁が高いから。
いま本業や副業で整体をしている理学療法士は、そのあたりを考えていないか、自分が勝手にできてるって思っているか、そのどちらかの可能性が高い。
整体を副業とすること自体は否定しないけど、やるならじっかり考えてみようね。