一時、整体院を開業してフリーランスもしていたゆういちです。
突然ですが、フリーランスってなんかいい響きと思わない?
雇われることなく、自分の腕でお金を稼いで生活をしている。
自分がやりたい仕事をしているようで、なんか憧れませんか?
でも実際には、フリーランスの理学療法士として活動をしていくのはめちゃくちゃ大変。
いまフリーランスとして活躍している理学療法士も、表に出さないだけでたくさん苦労をしてきている。
失敗して雇われ理学療法士に戻った人を何人も知っている。
私も一時フリーランスとして活動していた時期もあるので、その苦労は本当によくわかる。
苦労や厳しさをよくわからずにフリーランスになったのが悪いんだけど・・・。
そこでフリーランスを目指す人に提案したいのが、パラレルキャリアを形成すること。
パラレルキャリアがうまくいけば、フリーランスへの道も自ずと開けていく。
パラレルキャリア?何なん、それ?
知らん人が多いと思うから、ちゃんとわかるように説明するわ。
今回はパラレルキャリアについてわかりやすく解説します。
なぜフリーランスになる前にパラレルキャリアを目指すべきなのか、どんなメリット・デメリットがあるのかもしっかり解説します。
- フリーランスとして活動したい理学療法士。
- パラレルキャリアの意味やメリット・デメリットを知らない理学療法士。
とにかくフリーランスになることを早まらず、まずはこの記事を読んで欲しい。
きっとヒントが見つかるよ。
フリーランスの理学療法士を続けていくの本当に厳しい
フリーランスの理学療法士と書いているけど、「そもそもフリーランスって何?」という話から。
「そんなん知ってるわ」という人は飛ばしてもらっていいよ。
実はフリーランスという言葉の定義はいまだに定まっていないみたいだけど、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の資料には次のように書かれている。
特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人
副業や兼業を問わず、独立した形態で自分の知識やスキルでお金を稼いでいればフリーランスとしていいみたいですね。
そんな中、理学療法士や作業療法士でも「フリーランス」と名乗る人が増えている。
たとえば、どこの病院や介護施設にも勤めず、
- 起業して整体院を営んでいる人
- パーソナルトレーナーの活動を仕事としている人
- セミナーを開催して生計を立てている人
はフリーランスに当たる。
実は開業してフリーランスになることは、それほど難しくない。
個人事業主の開業届け税務署を提出すれば、あなたも今日から立派なフリーランスになれる。
理学療法士が開業する方法についてこちらの記事に詳しく書いてるので、時間があるときに読んでみて。
開業してフリーランスになるのは簡単。でもそれを続けていけるかは別問題。
スペースを借りれば賃料がいるし、営業していくなら広告費や通信費もいる。
あと、自分が生活するお金もいるから、家族を養っている理学療法士なら簡単に「フリーランスになりま~す!」とはいえないはず。
ひとりで集客して、収入を得続けるのは本当に難しい。
じゃあフリーランスにはならん方がいいの?
いきなりフリーランスになるんじゃなくて、まずパラレルキャリアを目指せばいい。
パラレルキャリア?
パラレルキャリアについては次に詳しく書くわ。
理学療法士のパラレルキャリアとは?
パラレルキャリアとは次のように定義されている。
パラレルキャリア(英語:parallel career)とは、ピーター・ドラッカーが著書『明日を支配するもの』等にて提唱しているこれからの社会での生き方のひとつ。現在の仕事以外の仕事を持つことや、非営利活動に参加することを指す。
簡単にいうと、いまの理学療法士の仕事以外に、もうひとつ仕事を持つこと。
パラレルって平行とか並列って意味やもんね。
そうそう。日本では複業ということもあるわ。
パラレルキャリアって副業とは違うの?
複業ではあるけど、副業とはちょっと違うねん。
パラレルキャリアというと、副業と勘違いする人が多い。
「もうひとつ仕事を持つんだから副業でしょ?」となるんだけど、実際は少し意味合いが異なる。
パラレルキャリアと副業の違いについて、転職エージェントBIZREACHが運営しるBIZHINTには次のように書かれている。
一般的に副業(副職)とは、収入の増加を目的として本業以外の仕事を行うことを指します。
それに対し、パラレルキャリアでは収入が主目的ではなく、自身のスキルアップや視野の拡大、将来に向けた自己投資として余暇時間を有効活用することを第一に考えています。
副業はお金を目的とするけど、パラレルキャリアは自身のスキルアップを目的とした自己投資が主目的となる。
理学療法士に当てはめると、こんな感じ。
- お金が欲しいから、カフェで空き時間にアルバイトするのは副業。
- パーソナルトレーナーのアルバイトをして、その経験を本業に活かすならパラレルキャリア。
- でも、将来経営者になりたくて、カフェでアルバイトとして働きながら経営を学ぶのでれば、それもパラレルキャリアということができる。
なるほど、珍しくわかりやすいな。
珍しくは余計やろww
パラレルキャリアは「パラレルワーク」と呼ばれることも。日本語でいうと「複業」よりも「志を持った複業」の方が近いかも。
「副業」ではなく「複業」と表現するのは、アルバイト感覚ではなく、「もうひとつの仕事を持つ意識」も込められている。
セミフリーランスなんて言葉もあるけど、自由が半分だけなんておかしくない?
だから個人的にはパラレルキャリアと呼びたい。
理学療法士がフリーランスではなくパラレルキャリアを目指すべき理由
では、なぜ理学療法士がまず目指すべきはパラレルキャリアのか。
その理由は4つある。
- パラレルキャリアで技術や知識が拡がる
- パラレルキャリアで人脈ができる
- 本業があるので収入の心配をしなくてもいい
- パラレルキャリアなら社会保険に加入し続けられる
それぞれ詳しく解説します。
パラレルキャリアで技術や知識が拡がる
お金目的の副業とは違い、パラレルキャリアでは理学療法士の本業につながる複業を行います。
たとえば、さきほどフリーランスで列挙した整体業やパーソナルトレーナーを複業として行えば、その技術や知識は必ず理学療法にも生かせるはず。
最終的にフリーランスを目指す場合でも、パラレルキャリアで経験を積んだり、顧客を獲得しておけばきっと近道になるでしょう。
パラレルキャリアで人脈ができる
理学療法士って病院や介護施設では認知されてきましたが、一般社会にでるとまだまだ稀有な存在。
理由は簡単。ケガや病気をしないと理学療法士と関わることがないし、理学療法士が社会に出ていくこともないから。
でもパラレルキャリアで病院や介護施設の外に飛び出せば、いろんな業種や職種の人と出会える。
たとえば、私は複業収入があるので毎年確定申告をしてるが、確定申告は税理士さんにお願いしている。
普通に理学療法士として仕事をしていれば、税理士さんと話す機会はあまりないでしょ?
パラレルキャリアで仕事をすると、経理や税金の問題は避けて通れないので、税理士さんとの関わりはあった方がいい。
他にもパーソナルトレーナーとして活動すれば、アスレティックトレーナーやフィジカルコーチなど、医療人じゃないけどスポーツに携わる人のつながりもできる。
こういうつながりもパラレルキャリアならではですね。
本業があるので収入の心配をしなくてもいい
2018年のフリーランス白書によると、フリーランスになって一番困るのが収入面。
会社員からフリーランスになった6割以上の人が「収入がなかなか安定しない」ことを、フリーランスを続けていくことの障壁としている。
実際、調査によると、フリーランスの独立前後の変化として、会社員時代に比べて44.8%の人が収入が減ったと答えている。
その点、パラレルキャリアであれば病院や介護施設での仕事も続けるので、収入が激減することはない。
ベースとしての給料は維持しながら、複業が軌道に乗ればさらに収入が増える利点もあるし、フリーランスになっても開始時からある程度の収入は期待できる。
パラレルキャリアなら社会保険に加入し続けられる
フリーランスになると立ちはだかる大きな問題に社会保険がある。
正社員(常勤)として働いていると当たり前のように加入できる社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険など)。
そのうち健康保険、厚生年金保険、介護保険は雇用主(病院や介護事業所)と折半しているのを知ってますか?
フリーランスになるとわかるけど、国民健康保険(国保)はめちゃくちゃ高い。
正社員のときに1万5千円くらいだったのに、フリーランスになると4~5万円くらいになることも。
これは雇用主が半分負担してくれていたから安くなっていただけ。
私はフリーランスだったころ、健康保険と介護保険で6万5千円くらい払ってました。
高すぎ!勤め人って恵まれてるんやね。
ほんまにそうやで。
パラレルキャリアであれば病院や介護施設に籍があるので、社会保険には引き続き加入できる。
これはフリーランスにはない本当に大きなメリット。
もっというなら、フリーランスは病気やケガをしても有給休暇がないから、仕事を休めば収入減に直結するし、通勤中に交通事故に遭っても労災保険も使えない。
その点、パラレルキャリアであれば有給休暇で休めばいいので安心やね。
理学療法士がパラレルキャリアにはデメリットもある
パラレルキャリアのメリットはわかったけど、デメリットもあるんやろ?
もちろんデメリットもあるよ。
理学療法士のパラレルキャリアのデメリットは3つ。
- 忙しくて本業に支障をきたす可能性あり
- スタッフの理解を得るのが難しい
- 就業規則に引っかかる場合がある
忙しくて本業に支障をきたす可能性あり
パラレルキャリアとしてする仕事は、本業以外の時間にする必要がある。
業務後や休日を使うので、体を休める時間はなくなる。
最悪の場合、体調を崩したりして本業に差し支える可能性もある。
キャリアアップのためやのに、本業に影響したら本末転倒やな。
やっぱり体はちゃんと休まさんとな。
パラレルキャリアをすすめる上で、仕事と休息を両立させるために、タイムマネジメントは非常に重要になる。
リハビリスタッフの理解を得るのが難しい
現在、国の方針としてパラレルキャリアや副業を推進していて、厚生労働省の資料にもしっかり記されている。
長時間労働、企業への労務提供上の支障や企業秘密の漏洩等を招かないよう留意しつつ、雇用されない働き方も含め、その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である。
ただ医療や介護はまだまだ閉鎖的な社会。
他病院や他施設での非常勤勤務はOKでも、理学療法士がパラレルキャリアとして違う仕事をすることを容認する雰囲気はない。
他に仕事をしているなんてわかったら、「そんな時間があるならもっと勉強しろ」と怒られる可能性が高い。
パラレルキャリアが浸透するにはまだまだ時間がかかりそう。
就業規則に引っかかる場合がある
最後が就業規則。
就業規則で本業以外の仕事が禁止されている場合がある。
その場合は、所属長の許可をとる必要か、絶対バレないようにパラレルキャリアをすすめるしかない。
そのあたりは下の記事でかなり詳しく書いてるので、時間があるときに読んでみて。
まとめ
理学療法士のパラレルキャリアについて書いてきた。
長くなったので最後にまとめます。
- 理学療法士はいきなりフリーランスになるより、まずはパラレルキャリアでスタートすべき。
- フリーランスになると、収入や社会保険の不安がつきまとうので、パラレルキャリアならその不安がない。
- 医療や介護現場ではパラレルキャリアの理解が乏しいので注意が必要。
厳しいこともあるけど、フリーランスを目指したいならまずはパラレルキャリアでしっかり経験を積んで欲しい。
以上、フリーランスになりたい理学療法士の参考になれば幸いです。