理学療法士の年収は今後大きくは上がりません!
だから年収を上げたかったらやるべきことはたったひとつ、いますぐ転職して職場を変えましょう。
それはもうデータが物語っています。
そして理学療法士がこれだけ大量に養成校から輩出されている状況や、超高齢化社会を迎えていく未来を考えれば誰にだってわかります。

若手の理学療法士は給料に関してはこれから厳しくなることをある程度理解できてるみたいやね。

わかっていないのはどちらかというと40歳以上のベテランかな?

そうそう。ベテランはまだ理学療法士バブルだったころを忘れられへんのよな。
いま現在経験年数20年を超える「ベテラン」と呼ばれる世代の理学療法士は、理学療法士バブルの世代に誕生しています。
理学療法士バブルとは、理学療法士がとにかく重宝されて、好条件で就職・転職できていた時代のことです。
ベテラン勢はうすうす気づいているけど、給料がいい時代に働いてきたから、自分たちが厳しい立場にいることを認めたくない人もいる。
- 理学療法士として働いていて給料が安いと思っている人。
- 理学療法士として今後の給料に不安を感じている人。
- 医療従事者とか関係なく、働くなら少しでも給料は高い方と思う人。
ベテラン理学療法士でも今後の業界の事情を考えると、年収や給料は大きく上がりません。
なぜ転職をすすめるのか。最後まで読めば理解できると思います。
理学療法士の給料はジリ貧だが実は上がっているのにはカラクリがある
冒頭で書いたことをひとつだけウソがあります。実は理学療法士の給料はジリ貧ですが、少しずつ上がっています。
厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査を見ると、理学療法士の近5年(2013~2017年)年収は次のように推移しています。
年 | PT・OTの 平均年収 | 平均年齢 | 平均 勤続年数 |
2013年 | 396万円 | 30.7歳 | 4.8年 |
2014年 | 389万円 | 31.3歳 | 4.8年 |
2015年 | 404万円 | 31.5歳 | 5.3年 |
2016年 | 406万円 | 31.8歳 | 5.3年 |
2017年 | 404万円 | 32.7歳 | 5.7年 |
引用)賃金構造基本統計調査
※理学療法士だけのデータが存在しないため、正確にはこの記事で紹介する数値はすべて理学療法士・作業療法士を合わせたものです。
2013年には平均年収は396万円でしたが、2017年には404万円になっています。2012年には394万円でしたから、5年で10万円伸びたことになります。
これだけ見ると「おっ!将来は明るいんじゃないか」って思う人がいるかもしれません。
でももう少し詳しく見ると、注目すべきポイントに気がつきます。右側の2列。平均年齢と平均勤続年数ね。
2013年には平均年齢30.7歳、平均勤続年数4.8年でした。
2017年には平均年齢32.7歳、平均勤続年数5.7年となり、年齢にして2歳、勤続年数では約1年増えていることになります。
これが何を示すかわかりますか?
平均年収が増えた分はみんなが少し歳をとって勤続年数が増えたからで、その分年収も増えたってことです。
いまいちピンとこない人はこう考えてみてください。
2017年に同じ年齢30.7歳、勤続年数4.8年の人と比べた場合どうなるでしょうか?おそらく404万円よりも少なくなって400万円を切るはずです。
ということは実質平均年収は下がっているに等しいということです。
これからの理学療法士は経験年数を重ねてもいまのベテランのようには稼げない
もうひとつ知っておいて欲しいことがあります。
若手が普通に働いていても、いまのベテラン世代のように稼ぐことはできないってこと。
こちらのデータを見てください。
年代別・男女別の理学療法士の平均年収が載っています。
年齢 | 男性 | 女性 |
20~24歳 | 328万円 | 322万円 |
25~29歳 | 389万円 | 378万円 |
30~34歳 | 418万円 | 392万円 |
35~39歳 | 443万円 | 421万円 |
40~44歳 | 482万円 | 450万円 |
45~49歳 | 498万円 | 492万円 |
50~54歳 | 586万円 | 558万円 |
55~59歳 | 536万円 | 467万円 |
これを見ると男性も女性も50~54歳でピークを迎えるように右肩上がりで推移しています。
ここで気になるポイントがふたつあります。
理学療法士は50代になるとなぜ急激に年収が上がる?

男女とも45~49歳から50~54歳のところで急激に年収が上がっています。
男性で約88万円、女性で約66万円。
他の数字の伸びに比べて、この部分が明らかに高い伸びを示していることがわかります。
これはおそらく50代(経験年数30年前後)を迎える頃に病院や施設の責任者になって待遇が上がり、年収が高くなったことが要因だと思います。

たしかにこの世代や経験年数の理学療法士っていまは貴重やもんね。

同級生もほとんどが病院とか養成校の責任者やってるもん。

求めれば、というよりも求めていなくてもトップになっていくしかなかった感じやな、その年代は。
でもいまの若手から30代後半の世代は、経験年数が同じくらいの理学療法士が何万人もいます。
50歳前後になってもどこかの病院や施設でトップになれる可能性はかなり低いです。
ですから若手が50代になっても、病院や施設の責任者として転職し、待遇が跳ね上がる可能性も低くなります。
これはいまの40代の理学療法士にも当てはまります。
いま現在病院や施設のトップになっていない人で、年代の近い上司がいる人は、将来的にも責任者になれる可能性は低いです。
理学療法士の若手の初任給は激減してきている
もうひとつ気になるのは20~24歳の平均年収です。
こちらでは男性328万円、女性322万円となっていますが、おおよそいまの初任給に近い数値だといえます。
年間の昇給はおおよそ2000円くらいで、ボーナスが年間4ヶ月だとしましょう。単純計算すれば年収は1年で32000円増えます。(2000円×12ヶ月+2000円×ボーナス4ヶ月分)
これだと10年働いても年収は32万円しか増えません。
もしいま20~24歳の理学療法士が30~34歳になっても、平均年収は360万円くらいにしかなりません。
もちろんこれは単純計算です。
昇給額やボーナスの月数、役職がつけば役職手当て、結婚して家族ができれば扶養手当なども入って、もっと増える可能性もあります。
ただそれでも現在の30~34歳の平均年収である418万円には届かないでしょう。
何が言いたいのかというと、いまの若手世代と中堅・ベテラン世代ではスタートなっている初任給が違います。
そもそもの出発点が違うってことです。
だから10年後に経験年数がいまの30~34歳世代に追いついても、今30~34歳世代がもらっている年収ほどはもらえません。

私たちが新卒の頃って新卒でも年収400万円以上あったなぁ。

元々ベースが高かったし、昇給もボーナスも多かったもん。いまの若手は普通にやってたら、絶対にいまの俺らくらい稼ぐのは無理やわ。

しかもいまより転職しやすかった時代やし、転職を重ねて給料を上げることも難しくなかったしなぁ。
理学療法士大量輩出と超高齢化の影響

それに追い打ちをかけるように、いまは理学療法士が毎年毎年大量に養成校から輩出されます。
大量に輩出されるということは就職市場での価値はどんどん下がるということです。
病院や施設の需要と養成校から輩出される供給のバランスが崩れ、供給過多になっています。
昔は理学療法士がダイヤモンドの原石みたいに貴重やったけど、ダイヤモンドが大量に採掘できるようになったら、そりゃ価値が下がります。
経営者にしても理学療法士を雇いたいと思ったときに、たくさんいるなら高い給料を提示しなくてもいいでしょ?だって条件がある程度悪くても誰かが応募してくれる可能性があるので。
あと超高齢化社会になれば医療や介護にかかる費用が高騰することは火を見るより明らかで、保険点数の抑制は今後も進んでいくでしょう。
そうなれば理学療法士が稼げる点数は下がるので、経営者が理学療法士に払える給料も安くなってしまいます。

経営者にしたら給料は安い方がいいから、俺らみたいな中年ベテランには先行きは厳しいよなぁ。

よっぽど何かに飛び抜けた能力あればいいんやろうけど、あんたみたいに平凡で中途半端な経験者はいらんわ。

ほっとけ。
理学療法士が給料に不満を感じたら転職するのがベスト
初任給も下がる、昇給額も高くない、将来的には保険点数も抑制される、でも給料に不満があるなら、1日でも早く転職するべきです。
待っていてもこの状況が好転することは絶対ないです。
だったら少しでも早くいまの職場に見切りをつけて、少しでも良い条件の職場を探した方がいいです。
極論になってしまいますが、それほど厳しい状況になってきていると理解した方がいいですし、早く理解できた人は良い条件を得られる可能性がありますよ。
転職の流れについてこちらで詳しく書いていますので参考にしてください。