訪問リハビリに転職するには覚悟が必要です。
その覚悟がないと、おそらく訪問リハビリをずっと仕事し続けること難しいでしょう。
特に30代で訪問リハビリを常勤として始めるなら相当の覚悟をもって挑むべきだと私は考えています。
どんな覚悟か?それは次の4つです。
- 本当に在宅に関わりたいのか?
- 歳をとっても体力を維持できると考えていないか?
- 訪問リハビリの給料は今後下がるがそれは大丈夫か?
- 将来的な転職先は絞られることに気づいているのか?
訪問リハビリには急性期とは違うやりがいや悩みがありますし、30代は20代とは違う立ち位置が必要になります。
もし「えっ?そうなの?」と思った人はぜひ最後まで読んでください。
この記事で伝えること
理学療法士にとって在宅リハビリは特殊な領域
いま国は、病院ではなく在宅で療養できる制度を推し進めています。その一環として訪問リハビリがあります。
訪問リハビリに一定期間関わったことがある理学療法士ならわかると思いますが、在宅でリハビリをするってけっこう特殊なんですよね。
訪問リハビリならではの移動が厄介
病院勤務では病棟に上がれば患者さんはいますが、訪問リハビリでは利用者さんの家に移動して向かう必要があります。
移動手段は車や原付き、自転車などですが、原付きや自転車で移動する人は大変です。
夏場の猛暑では、移動中に熱中症の危険にさらされますし、極寒の真冬では雪がちらつく中を走り回らないといけません。
病院や施設の中は冷暖房で室温は維持されていますので、天候によって仕事の大変さが左右されることはありませんよね。
逆に訪問リハビリは天候によってしんどさがかなり違います。
訪問リハビリは常にひとりなのでリスクと隣り合わせ
訪問リハビリはひとりで利用者さんの家に行きます。
もし治療中に利用者さんが転倒したり、過呼吸いなって倒れたりしても、すべて自分ひとりで対処しなくてはなりません。
以前私があるお宅に訪問に伺うと、インターホンを押しても反応がありませんでした。
鍵が開いていたので中に入ると、玄関先で倒れていてめちゃくちゃ慌てた経験があります。
そのときは主治医に連絡してうまく対応できたので事なきを得ましたが、訪問リハビリでは主治医に連絡できないことも多いので、リスクの管理は自分に委ねられると考えた方がいいでしょう。
訪問リハビリでは理学療法士としての全能力が試される
病院でリハビリをしているとき、患者さんの治療で行き詰ったら先輩の理学療法士に触ってもらったり、同僚にアドバイスをもらったりできます。
訪問リハビリではこれができません。
最近は利用者さんを動画で撮影して先輩にアドバイスをもらったり、テレビ電話でつないでアドバイスをすることもありますが、病院ほど手厚くはできません。
しかも病院のように平行棒や昇降台、バルーンなどのリハビリ器具がありません。
利用者さんの自宅にある物を使って、その環境下で最大限のADLを引き出す必要があります。
これって全理学療法士力が試されると私は考えています。
訪問リハビリの楽しさに気づきやりがいを感じられるのか?
病院でのリハビリと違い、訪問リハビリでは利用者さんの暮らしがまさに目の前にあります。
使える物や制度をフル活用して、リハビリをすすめなくてはなりません。
ここに訪問リハビリのやりがいがあると私は感じています。
整形外科の手術後や脳梗塞発症直後の患者さんには毎日変化があるので、その変化を感じ取れる楽しみがあります。
在宅でのリハビリでは、急性期の手術後の患者さんほど大きな変化があるわけではありません。維持するのがやっと、という利用者さんも多いです。
ですから急性期のように大きな変化に喜びを感じることはできません。
訪問リハビリは病院でのリハビリとはちょっと違う。
そのやりがいを感じられるかどうか。
あなたが長く訪問リハビリに携わるのであれば非常に大きなウェートを占めます。
訪問リハビリは体力勝負!理学療法士は体力をいつまで維持できる?
訪問リハビリは体力勝負!
これはどの教科書にも書いていませんが、本当にそう思います。
さきほども移動のところで少し触れましたが、原付きや自転車で真夏に移動するのは本当に大変です。
この記事を読まれている理学療法のみなさんは30代だと思いますが、10年後も同じように仕事ができる体力があるか考えた方が賢明です。
30代のうちはいいですが、40代になっても屋外でバリバリ働き続けられる自分でいられるのか、しっかりイメージしましょう。
訪問リハビリの給料はいまがピークだと考えるのが妥当
国が在宅での療養をすすめていることもあり、在宅関係の医療・介護サービスは高報酬を維持してきました。
ところが、高齢者が急増して介護保険の予算が厳しくなってきました。
さらに在宅サービスもある程度充実してきたので、近年は少しずつ在宅関連の介護報酬も下がってきています。
もちろん訪問リハビリも例外ではありません。
介護報酬の改定時には数%ずつですが、訪問リハビリ本体の報酬を下げて、加算をつければなんとか維持できるように調整されています。
さらに加算をとるための医師の関わり方や書類の作成、カンファレンスのあり方などもどんどん複雑化してきています。
訪問リハビリの介護報酬は徐々に減っていますし、今後も減らされていくことが予想されます。
現状では訪問件数に応じて給料が増える、インセンティブ制度を導入している訪問看護ステーションがあります。
そのため、毎日10件近くまわって稼いでいる理学療法はたくさんいます。
ただ制度的にいつまでその方法で稼げるかは不透明です。
1日あたりの訪問件数を制限されるかもしれませんし、介護報酬が下がれば同じ訪問件数でもいまより稼げないのは確実です。
しかも上でお伝えしたように、自分の体力の問題もありますよね。
40代になって毎日10件近くまわるのは本当に大変ですし、それをずっと続けるのはかなり厳しいです。
30代の理学療法士のみなさんは、訪問リハビリでいまと同じ水準を稼ぎ続けるのは難しいと考えましょう。
もし訪問リハビリに転職するときに少しでも良い条件で就職するなら転職サイトを利用してください。
訪問リハビリの求人は、PT-OT-ST.NETやハローワークの求人検索などを見ると、かなりたくさん出ています。
ただ自分で連絡して、応募すると良い待遇で雇ってもらうのは難しいです。
だって「もっと給料が欲しいです」って見学や面接でいえますか?
もし「お金のことはいいにくいなぁ」という人は、転職サイトを利用すれば、担当者が自分の代わりに給料交渉してくれます。
けっこうきわどいことでも聞いてくれますので、まずは登録して相談してみましょう。いますぐ転職する気はなくても、相談だけでも大丈夫ですよ。
理学療法士が訪問リハビリから転職するなら?
30代で訪問リハビリに転職したとしましょう。
もし訪問リハビリに合わなかったり、「やっぱり急性期の患者さんが診たい」となったりすると、もう一度転職するかもしれません。
訪問リハビリで勤めると、バタバタしている急性期の病院に戻りにくくなります。
訪問リハビリでは最新手術に触れる機会はほぼありませんので、急性期に戻ったとしてもわからないことだらけで、かなり努力しないといけない未来が待っています。
しかも、もう一度転職するとなると、40歳に近いベテランの立場です。
そんなベテランが急性期でうまく動けない(=うまく立ち回れない)ってかなりやばいです。
あと訪問リハビリで長く勤務していると、ひとりで働くことに慣れてしまうので、回復期のようにたくさんのセラピストの中で働くのが難しくなる人もいます。
訪問リハビリに転職すると、その後の就職はかなり絞られます。
定年まで訪問リハビリに従事するのであれば問題ないですが、再度転職する可能性がある人は頭の隅に入れておくべきです。
まとめ
繰り返しになりますが、訪問リハビリは特殊です。
訪問リハビリに一度就職すると、その後の理学療法士人生にも影響がありますし、30代という年齢を考えてもその先を慎重に考えるべきです。
それでも訪問リハビリに転職するなら、少しでも好条件での転職を勝ち取るべきです。
だって相当の覚悟をもって30代で訪問リハビリに飛び込むわけですから。
そんなときには転職サイトは必須ですよ。
私は40代で転職したときに『PT・OT・ST WORKER』という転職サイトを利用しました。
PT・OT・ST WORKERは理学療法士には有名ですよね。トップクラスの求人数を抱えている転職サイトです。
満足度も高くて、ある調査では満足度、支持率がNo.1とのこと。
PT・OT・ST WORKERの担当者がすごく丁寧で、転職時は本当に助かりました。
転職サイトの担当者は、転職を診続けていたいわばプロです。
もし迷っているなら、登録して身の上相談するもよし、いまの就活事情を聞いてみるのもいいでしょう。